毒親ヨシコさんの事件簿

毒親ヨシコさんの事件簿~第15章 オサチ血の海に舞う vs ヨシコさんのパン種~

nth3son

昔むかしある処に、ヨシコさんという昭和一桁生まれの女子がいたとさ。ヨシコさんの子どもたち3人は、学生時代は親元を離れて暮らしていたとさ。
その時オサチとエリリンは、同じマンションに一緒に住んでいて、エモちゃんは、そこから2時間くらいの処で、一人暮らしでした。携帯電話もない時代のお話です。

エモちやんは、大切な試験を前に、寸暇を惜しんで勉強していました。
その時、
その時、電話がけたたましく、鳴りました。
ヨシコさんからでした。
“オサチが自宅前で転んで、怪我して病院に運ばれたらしい。エモちゃん、先に見に行って”
エモちゃんは事情が読み取れない。エリリンとは連絡がとれないとのこと。確かに片道数時間のヨシコさんより、片道2時間のエモちゃんのほうが近いので、何がオサチに起きたのかの確認には、エモちゃんのほうがいいらしいです。
でも、もうすぐ人生を左右するような試験を控えて、1分でも1秒でも惜しくて勉強している状況、他に手立てはないのか!

その時、
その時、ユキオさんからも電話がありました。
“オサチは目を覚まして大事には至らないよう。エモちゃんでなく、ヨシコさんに先に見に行ってもらい、自分は仕事が終わり次第駆けつけると言っているのだが、、”
しかし、

しかし、

ヨシコさんは、重要なことをしているので、頑としてウンと言わないそう。
一体何をしているのか、
“パン種をこねているらしい”

エモちゃん絶句、確かに最近パン作りに熱心で、時々送ってくれます。
でも、何故、なぜ?
オサチのケガ vs パン種
オサチの入院<<パン種
オサチの見舞い<<<<パン種?
ユキオさん、興奮気味に、
“俺はパン種は捨てちまえー、と言っているのだが、、、”

エモちゃん、ようやく事情が飲み込めました。オサチは自宅前で派手に転び一面血の海になり、救急車で病院に運ばれた。その知らせが親元に届いたが、一緒に住んでいるエリリンと連絡が取れなかった。そこで、ヨシコさん、自分はパン種をこねて忙しいので、代わりににエモちゃんに病院見舞いをお願いしたと言うわけのようです。説明長いぜよ。

エモちゃんは考えました。片道2時間、往復4時間のお見舞いは試験前にはとっても辛い。しかし、ここは踏ん切りをつけて怪我の程度を見に行くことにしました。

そして、数時間後、

病室ではオサチが、借りてきた猫のように大人しくベッドの上に横たわっていました。ようやく微妙なところに挿入されていたカテーテルを抜いてもらい、灼熱地獄から解放されてスッキリした様子。怪我はどこだ?

まだ学生のエモちゃんは、オサチの状態を親代わりに聞きました。その時の遠慮がちに病状を説明するお医者さんの姿は立派でした。

一言で言うと、大きな問題もなく、すぐ退院できる見込みです。早く帰って勉強しなくては!と、オサチの住むマンションに電話したら、ちょうどヨシコさんとユキオさんが到着したところでした。
その時、
その時ヨシコさんは、
“もう帰るの!せっかくパン焼いてきたのに!”

〇教訓

ヨシコさんにとって、世界中の誰よりもパン種が大切なようです。混乱の中、パンをしっかり焼いて持ってきたヨシコさん、恐るべし。

〇追伸

エモちゃんは無事試験に合格しました。危なかったわー。

オサチがパン種事件を知ったのは、かなり後になってからでした。本人は隠蔽したがっていました。

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もふもふエモちゃん
もふもふエモちゃん
毒親ヨシコさんの事件簿の作者
ブログ初心者。 三毛猫ふたりに癒されていて、幸せです。 毒親ヨシコさんに、メンタルが壊されないよう努力がモットー。
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